今、日本のモノ作りに携わっているエンジニアは、嫌というほどサムソンの強さを感じていると思います。自分も右に同じ。研究レベルでの技術の差はそれほど感じないけど、商品開発スピードに関しては圧倒的な違いがあります。ちょっとでもサムソンの強さの秘訣をしれたらなぁと思い、表記の本を購入しました。
自分が気になったポイントは、
・新興国、発展途上国は新たな市場
日本のように新興国を低コスト工場としてみるのではなく、新たな市場として見ている。そのために、人材・調達・RDも現地調達。現地のニーズ(QやC)に合った製品を提供している。今は新興国でもその国が先進国となった時、ブランドイメージに大きなアドバンテージを持つことができる。
・組織構造は基本的にボトムアップ型。
アップルのような圧倒的なカリスマがいた時の組織構造とは異なる。トップは、方向性のみを「明確に」示すことが役割。その方向性の決定権はボトムが持つ。ボトムアップ型で重要なのは、担当範囲・責任の明確化。
・お客様第一主義。
各地域に調査員を配置。デザインも徹底して追及。各地域のニーズに適合するために多品種大量生産をしている。それを可能にするシステムを構築。
これらのことはぱっと見ると、ビジネスの基本のようなことばかりで、日本の企業が嫌というほど理解していることばかり。松下幸之助や小林陽太郎も同じようなことを述べています。日本の企業と決定的な違いは、その基本を迅速に実行できる行動力と組織システムがあること。
スピードの違いは、落ちそうな石橋をあえて渡っていく国民性も一つの要因と書かれているけど、たしかに韓国のエンジニアは結構危ないことでもガンガンやることは、自分も業務でさんざん経験済み(汗)。あとは、韓国の優秀な人材が一つの企業に集約されるのも大きなメリットだね。
問題は、これからの日本企業がどのようにするか?開発スピードの遅さは、サムソンをしっかりとお手本にして修正していく。その上で、研究レベルの技術の深み・徹底した品質主義の国民性等、日本にアドバンテージのある領域を、お客様の本質的なニーズに繋げていくことが重要。
自分の会社の決定スピードの遅さにはうんざりくることばかり。なんで稟議や発注にこんなにも時間がかかるのか、どうでもいいようなシステム変更処理に時間を費やされるのか、間接部門がわざと仕事を作っているとしか思えないような体質になってしまっている。正直、この辺の会社の仕組みは今の自分の立場ではどうしようもないことが多い。
まずは、自分の担当業務での決定スピードの強化が、まずやらなければいけないことかな。
石橋をたたきすぎる癖は直さないとね。

